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登壇者挨拶
廣野宏正氏(文化庁新文化芸術創造活動推進室 室⻑)
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文化庁では、東京オリンピック・パラリンピックを契機として、全国各地で、文化・芸術を体験してもらうプログラムを充実させる取り込みを行っています。若い世代にも、もっと親しんでもらうために今日の企画を考えました。YouTuberの方の体験動画を交えながら、壇上のお三方に、グッと心を掴んでもらう時間を提供できればと思っています。

鉄拳氏(芸⼈・パラパラ漫画家)
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僕はYouTuberではないですが、公式の鉄拳チャンネルで、パラパラ漫画を載せています。パラパラ漫画を2017年に開始して、2018年の頭ぐらいにはパラパラ漫画は尽きてしまって、今は載せるものが無くて。「動画を始めようかな」と思っていたので、今日は一般の方の目線で勉強しようと思っています。

Masuo氏(YouTuber)
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「動画クリエイターとめぐる文化プログラムツアー」ということで、地元新潟の文化プログラムを体験して、それを動画にしました。地元新潟のことでも知らないことが沢山あったので、見ていただけたらと思います。

稲庭彩和⼦氏(東京都美術館学芸員)
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今日は、子どもたちと文化を楽しむことがテーマですが、私はいつも美術館で、子どもから大人まで色々な方々と作品を楽しむ仕事をしています。最近は、子どもたちもたくさん、美術館に来てくれるようになりました。ここに来ている方と、配信を見ている方と一緒に、文化の楽しみ方のきっかけを見つけられたら良いと思っています。

文化プログラム:新潟県越後妻有地域 大地の芸術祭
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司会 最初にご紹介するのは、新潟県の越後妻有地域で⾏われている、世界最⼤級の国際芸術祭「⼤地の芸術祭」です。こちらには、新潟出身のMasuoさんに行っていただきました。

Masuo 非常に楽しかったです。僕は新潟出身ですが、「⼤地の芸術祭」をやっていることを知りませんでした。実際に行ってみたら、色々な芸術スポットがあり、アートと自分の「映え」写真を撮影してきました。

<Masuo体験動画前半>

鉄拳 綺麗でしたね。

Masuo めちゃめちゃ綺麗でした。紹介しきれていないアートもたくさんあるのですが、一番印象に残っているのはトンネル(「Tunnel Of Light、清津峡渓谷トンネル」)です。水面に反射する写真が、インスタやSNSでバズっていて、たくさんの方が来ていました。観光バスが出ているくらいの映えスポットになっています。アート・芸術って難しいものだと思っていたけれど、自分なりに楽しむ方法があると強く感じました。映え写真を撮れば「こんなに良い所に行ってきたんだよ」とちょっと自慢したいような。アートもそういう風に楽しめて最高だな、と思いました。

鉄拳 僕も新潟にはよく行くのですが、こういうお祭りがあることは知らなかったです。新鮮で、行ってみたいと思いました。

Masuo 本当ですか。「リバース・シティー」、色鉛筆の作品の下に行った時の恐怖感は動画では伝わらないので、鉄拳さんも是非行ってみてください。

鉄拳 行ってみないとわからないですものね。

Masuo あんな風に、地元新潟で芸術を体感できるなんて知らなかったので、新潟県民としてまだ甘いなと、思ってしまうくらい良い所でした。トンネルの道中でも映えスポットやアートがたくさんありました。動画の尺が決まっているので、紹介しきれなくて残念です。皆さんに体感していただきたいです。

司会 稲庭さん、屋外展示というとスケール感も大きくなりますよね。

稲庭 そうですね。一日では全部周りきれないほどなので、皆さん、旅行を兼ねて、一・二泊しながら周っていると思います。見るだけではなくて、体験する部分も多いです。古民家の中がインスタレーション、アート空間になっていて、入ると非日常の世界を体験できるところがたくさんあります。鉛筆の作品の下で「怖い」と言っていましたが、他に体験的なものはありましたか?

Masuo 田んぼの奥に、黄色と青色の人型の作品(「棚田」)があったのですが、屋内のとある所から見ると文章が見えます。それを皆さんに上手くお見せしたかったのですが、カメラで撮ると伝わりませんでした。

鉄拳 行ってみた方が良いということですね。

<Masuo体験動画後半>
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司会 Masuoさん、新米が美味しそうでした。

Masuo 懐かしい味がしました。

鉄拳 僕の地元にもお祭りがあるのですが、地元の人でも知らなかったりするので、こうやってYouTubeで紹介しれくれると良いですね。地元のCMでしかやっていないから、県外者は来にくいと思います。YouTubeは全国的に見る人が多いから、全国から観光客も増えると思います。

Masuo 昨日のお昼に動画を公開したのですが、「地元なのに知らなかったです。今度行ってみます」というコメントが結構ありました。良いものがあっても、それがしっかり伝わっていないと知らないままなのだと思います。色々な形で、アートや文化を皆さんに共有できて良かったと思います。

司会 後半のVTRでもたくさん、映えスポットがありましたね。

Masuo 「黒板の教室」という、天井も床も地球儀も机も黒板で、どこにでもチョークで描いて良い部屋がありました。もしアーティストさんが黒板に描いたら、いくらでも華やかな教室になるだろうと思いました。

鉄拳 そんな所があったのですね。紹介してもらいたかったです。

Masuo 鉄拳さんがそこに居たら、凄いですね。

鉄拳 描きますよ、チョークで。

司会 廣野さん、こういった地方開催の文化プログラムは、その土地の魅力を発信できる素晴らしい取り組みですよね。

廣野 今回は新潟出身のMasuoさんに行ってもらいましたが、こういう発信があって、きっと聞いている皆さんも「こんな面白いことがあるのか」となったと思います。地域で工夫を凝らしているお祭りは結構あって、そういったものを探してみる、周りの人に伝えてみる、というのも面白いと思います。

Masuo トンネルは観光地化されていて、「県外からも沢山お客さんが来て、経済的にも上手く回っている」ということを聞いたので、アートや文化を通じて様々なアプローチができるのだと実感しました。

文化プログラム:東京国立博物館 表慶館 特別展「工藝2020-自然と美のかたち-」
<ももかチャンネル体験動画前半>
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司会 稲庭さん、展覧会をご覧になっていかがでしたか?

稲庭 ももかちゃんも、じっくり見ていたと思うのですが、ガラスケースが無くて、直接作品が見えるので、とても見やすい展示でした。建築家の伊東豊雄さんが展示デザインをされたと聞きました。

司会 VTRの中に「キュレーター」の話がありましたが、展覧会を開催するにあたって大事な存在なのですか?

稲庭 キュレーターは、美術館などにいる、展覧会を作る専門職です。この展覧会では工芸を扱っているので、工芸について詳しい研究者が展覧会をプロデュースしています。フリーでキュレーターをやっている方もいれば、固定の美術館で、学芸員の仕事の中でキュレーションという展覧会を作る仕事をしている人もいます。皆が作品の良さに近づけるようなストーリーを作るお仕事なので、もしかしたらYouTubeやパラパラ漫画を描く時の編集にも、通じるかもしれないですね。

司会 鉄拳さん、ご覧になっていかがでしたか?

鉄拳 自然なレポートで良かったですね。

Masuo 素直に楽しんでいる姿が、動画で伝わりました。僕は今年31歳なのですが、あの年代から芸術に触れられると財産になりますよね。

司会 中学生が動画で紹介してくれると、同じ中学生や、小学生の方でも「行ってみようかな」となりますね。重要文化財である表慶館での展示というのも素晴らしい試みですよね。

廣野 すごく貴重な建物で、なかなか日本で実現してこなかった展覧会なのですが、そのような話をしてもよくわからないですよね。ももかちゃんみたいに、「スゴイ!」「カワイイ!」と、自分の心の動きをそのまま感じてもらえたら良いと思います。

鉄拳 自然体が一番良いですよね。

<ももかチャンネル体験動画後半>

司会 稲庭さん、ももかちゃんがとても自然体で楽しんでいらっしゃる姿が印象的でしたね。

稲庭 そうですね。工芸というと、少し難しいイメージがあるかもしれないのですが、工芸は元々日本にあった様々な造形なんです。ももかちゃんがVTRで「人の手と自然で作られた美しさ」とすごく良いことを言っていました。今から130年くらい前の明治時代に、日本の文化を海外に紹介しようとした時、「これらを何て呼ぼう」と考えて、絵や彫刻ではないもので美しいものを「工芸」と呼ぶことになったのです。伝統工芸や生活工芸など、工芸というものの幅が広くてピンとこない部分があると思うのですが、実は自分たちの感性、日本の風土の中で生まれてきたものなので、美術館で見るヨーロッパの彫刻や絵画よりもずっと私たちの元から持っている感性と繋がっています。ビビッと、ももかちゃんのように自分の感性で楽しめることがあるのではないかなと思います。

司会 ももかちゃんは作品を見た後に、パネルでもじっくりと内容について確認していましたが、読むと奥深さが違いますよね。

稲庭 作品全部を見ようとすると疲れてしまうので、お勧めとしては、ビビッときたものだけを絞って見た方が楽しめます。いくつか絞ってじっくり見て、関心が持てたらパネルを読んでみると、奥が見える感じかな。先にパネルを読んでしまうと、難しいと思うかもしれないので、まずは作品と仲良くなるところから始めるのも良いと思います。

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司会 鉄拳さん、VTRでカプセルトイが出てきましたね。

鉄拳 ああいう所にカプセルトイがあるのですね。

Masuo まだ色々な作品のカプセルトイがありそうでしたね。

司会 自分のお気に入りの作品のカプセルトイが出てきたら嬉しいですね。
鉄拳さんは色々な展覧会を開催されていますよね。

鉄拳 パラパラ漫画の個展を開催したりしています。でも、こういった貴重な文化財で行うこともなかなか無いし、これができたらすごいなと思って。是非チャレンジしたいと思います。

文化プログラム:国立科学博物館 企画展「国立公園 -その自然には、物語がある-」
<BonitosTV体験動画前半>
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司会 Masuoさん、⼩学⽣の姉弟がレポートしていましたが、先輩YouTuberから⾒て、いかがでしたか?

Masuo クオリティが高いですね。ものすごく面白いし、内容もしっかりわかるし、楽しい動画でした。僕の地元が「妙高高原」で、正にこの国立公園の近くに住んでいました。展覧会に行けば色々なことが学べるということで素晴らしいですね。

司会 海が無いのに貝殻の化石がありましたね。

Masuo 中学生の頃、地層に行って化石を見つけるという、理科の校外学習がありました。中学時代に勉強でやったことが、勉強としてではなく、展覧会で体験として学べるというのは素晴らしいです。

鉄拳 テンションが高い子どもたちで、子ども番組を見ているようで楽しかったです。

司会 稲庭さん、ワークシートに沿って探検気分で周ってもらえるのは、子どもたちも喜びますよね。

稲庭 子どもから大人まで、どなたでも楽しめる展覧会になっていると思います。特に子どもも楽しめるように、こうしたワークシートを作っている美術館・博物館が多くなっているので、会場で聞いてみると良いと思います。

<BonitosTV体験動画後半>

司会 Masuoさんは、どこか気になった所はありましたか?

Masuo 4Kシアターで日本の国立公園を見られることは、そうそうないと思うので実際に見てみたいです。さっきの映像の中に、僕の地元の滝が映っていました。地元民としては、そういう所がピックアップされて嬉しいです。色々な人に知って欲しいな、と思いましたし。あと、勉強としてではなく、国立公園など自然なものに、子どもの頃から触れることは重要だと思います。勉強となると面倒くさく感じるかもしれないけれど、ワクワクしながら冒険のような気持ちで行ったら、見方が変わると思いました。

司会 「日本ってこんなに綺麗なんだ」という台詞が印象的でした。稲庭さん、こういった展覧会は子どもたちの胸を打つのですね。

稲庭 先ほどの表慶館も、今回の国立科学博物館も、特別展、企画展の他にも展示があります。例えばライチョウなどの鳥や虫など、たくさん紹介がありましたが、そこから更に「これってどうなの」と思ったら他の展示も見ると更に深まって広がりがあるのが国立博物館の楽しい所ですね。あとは「小中学生無料」という所が多いです。国立科学博物館であれば、65歳以上は無料だったと思います。おじいちゃんおばあちゃんと孫で行くのも良いですね。

Masuo 経済的。僕は5人兄弟だったので、無料だったら嬉しいです。

稲庭 5人の関心が違っても、それぞれが好きな所を見に行って、後で集合しても良いですね。

Masuo 友達何人かと行くのに、親に連れてきてもらうのも良いですね。迷子にならないように気を付けていただいて。

司会 お友達同士、ご家族同士、様々な年代の方に楽しんでいただき、自分たちで好きな展覧会を見つけられるのは良いことですね。

Masuo 鉄拳さん、こういう所を見て、パラパラ漫画のネタになったりしますか。

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鉄拳 なります。家にいることが多いので、こういった動画を見るとインスピレーションが沸きます。

司会 「今度は本物の国立公園に連れて行ってよ、パパ」という台詞がありましたが、今回の展覧会を通じて、実際の旅に繋がるというのは、子どもたちにとって素敵な体験ですね。

廣野 「じゃあ行ってみよう」という気持ちになるようなきっかけ作りはどんどん進めていきたいと思います。

鉄拳 展覧会で、楽しそうなことを見つけて、「これを見に行こう」と計画を立てると良いですね。

Masuo 国立公園に加えて、僕が行った「大地の芸術祭」へ行くのも良いですね。国立公園を見て、アートを見て、美味しいごはんを食べて。あら、良い旅プランができてしまった。

<感想>

司会 以上、3本の⽂化プログラムを紹介する体験動画を⾒ながらお届けして参りました。鉄拳さん、いかがでしたか?

鉄拳 僕は家にいることが多いので、こういった外に出る動画は癒されました。YouTubeをよく見るのですが、自分もやってみたいと思っていたので、今日の皆さんのコメントや編集の入れ方は勉強になりました。

司会 Masuoさん、今日はいかがでしたか?

Masuo 面白かったです。動画クリエイターとして、文化プログラムを皆さんに伝えられたのは光栄なことです。特にこのご時世、なかなか外に出たくても出られない中、こういう日本の文化もある、と伝えられたことは素晴らしいです。僕の場合は「映え」でしたが、色々な楽しみ方も伝えられたと思います。「文化プログラム映えツアー」のような、今度は「映え」中心で色々な所に行ったら、より「文化に触れたい」かつ「行ってみたい」となると思いました。是非皆さんも行ってみてください。

司会 稲庭さんはいかがでしたか?

稲庭 楽しかったです。文化プログラムというと一見堅いようですが、YouTubeやパラパラ漫画のような色々な分野の幅広い方々とクロスして繋ぐと面白いクリエーションも生まれると思います。文化関係者も色々なことにクロスしてみると良いと思いました。

司会 廣野さん、いかがでしたか?

廣野 暫く文化庁の公式YouTubeチャンネルで、アーカイブ配信する予定になっているので、友達に勧めてもらったらな、と思います。色々な方々に文化を楽しんでいただけるよう、文化庁ではこういう取り組みを行っています。仕事柄、文化という言い方をしていますが、今日の動画を見ていても、そこで遊んでいたら遊び場ですし、勉強になったと思えば学び場ですし、癒しを求めようと思ったら癒しの場だし。その人がそこをどう楽しむのか、それが中心であったら良いと思います。人には、好みが色々ありますから、好みに合致する機会をどんどん作っていきたいと思います。これからも文化プログラムの充実に向けて取り組んでいきます。「Culture NIPPON(カルチャーニッポン)」という、日本でどんなプログラムをやっているのか紹介するサイトを設けて運営しています。是非とも、自分の好み、新しい出会いを求めて、文化プログラムがどんなことをやっているのか、サーチをしていただければと思います。